ウィル・スミスがアカデミー賞でのビンタを謝罪 妻を侮辱されて怒り心頭

俳優のウィル・スミス(53)が3月27日(日本時間28日)の第94回アカデミー賞授賞式で、プレゼンターを務めていたコメディアンのクリス・ロック(57)をビンタするシーンがあった。ネットでは、その行為が波紋を呼んでいる。

ウィル・スミスは29日、自身のInstagramを更新。騒動後というもの、アカデミー賞受賞式での騒動については関係者等に対して謝罪していたが、平手打ちをした相手に対しては謝っていなかった。それが、ここにきて初めて彼に対しても謝罪の意を示した。

授賞式で妻を侮辱され激怒

「メン・イン・ブラック」シリーズや「インディペンス・デイ」「幸せのちから」などでおなじみのハリウッド俳優のウィル・スミスが3月27日(日本時間で28日)に行われたアカデミー賞授賞式で、コメディアンのクリス・ロックを平手打ちするシーンがあった。

授賞式でウィル・スミスは、妻であり女優のジェイダ・ピンケット・スミスが患っている脱毛症に関するジョークを飛ばしたクリス・ロックに対して怒りを抑えられなかった。ジェイダ・ピンケット・スミスは脱毛症であることを公表しており、このとき授賞式にも短髪姿で同席していた。

ロックは長編ドキュメンタリー部門の受賞者を発表している最中に、ウィル・スミスの妻であるジェイダを指して、「G・I・ジェーンの続編を楽しみにしている」と発言。

映画ツウである人にはわかるかもしれないが、『G.Iジェーン』は兵役中に頭髪を剃った坊主頭の女性が主人公であり、ロックはこれをジョークとして茶化して言ったのだ。

「妻の名前を口にするな」ビンタをお見舞い

全容はこのような形だ。まず、ロックがウィル・スミスの妻を名指しして、「ジェイダ、大好きだ!」と発言。続けて、「G.I.ジェーン2に登場するのが楽しみだ!」と言ったのだ。

会場に笑いが起きると、ウィル・スミスがロックのもとへと歩いていった。それを見たロックは、「おお、リチャード!」と、このたびウィル・スミスがアカデミー賞にノミネートされた映画「ドリームプラン」で演じた役名で呼んだ。

ウィル・スミスはステージにいるロックのもとへと着くと、文句を言ったり非難するでもなく、無言で彼をビンタ。ロックはこれに対してもまだ状況がわかっていないようで、ウィル・スミスが本気で怒っているとは思わなかったのか、「おお!わお!ウィルスミスにまさかビンタされた」という反応。

それに対しウィル・スミスが客席に戻りながら、「妻の名前を口にするな!」と口にし、放送禁止用語を交えてののしる場面もあった。この騒動もあり、授賞式をライブ中継していたABCテレビの音声は一時途切れるなどの事態となった。

ロックはジョークだったのだと釈明したが、当然現場は険悪ムードに。その後、ウィル・スミスは米テニス選手のウィリアムズ姉妹の父親・リチャード役を演じた映画「ドリームプラン」で主演男優賞を受賞。

スピーチでは喜びの涙を流しながらも、直前に起きた殴打事件については「アカデミー(主催団体)やノミネートされたすべての仲間に謝りたい」と詫びたが、ロックに対しては謝罪していなかった。

インスタグラムで公式に謝罪

公式インスタグラムでウィル・スミスは、「ジェイダ(妻)の身体的コンディションにまつわるジョークは私にとっては耐えられず、感情的に反応してしまった」とし、自身の行動は「受け入れがたいものであり、言い訳のできないものだ」とコメント。

続けてロックにも「公式に謝罪したいと思います、私が間違っていた」とメッセージ。さらに、アカデミー賞の関係者や、自身の行動を見ていた世界中の人々、そして今回自身が主演男優賞を受賞した映画『ドリームプラン』で演じたリチャード・ウィリアムズに対しても謝罪の言葉をつづった。

ネットでは賛否両論

アカデミー賞を主催する団体はウィルスミスのこの行動を非難し、「調査する」としており、またビンタをされたクリス・ロックは被害届を提出しないとしている。

状況が状況ということもあり、ウィル・スミスを非難する人もいれば、擁護する立場の人もいるというのは想像通りだ。

非難する立場としては、「どんな状況であっても暴力は許されない」「大人な対応をしてほしかった」「言論で解決するべき」「もうウィル・スミスの出る映画は観ない」というものなど。

一方で、ウィル・スミスを擁護する立場の人も決して少なくない。「家族を侮辱されたら自分も同じ行動をとるかもしれない」「相手が先に言葉の暴力をした。正統防衛」「このコメディアンは過去にもアジア人差別発言で炎上していた。まったく懲りていない。表舞台に立つべき人ではない」などの意見が見られる。

騒動のあと、アカデミー賞のTwitterアカウントは「どのような形の暴力も見逃さない」と投稿している。これに対し、「言葉の暴力は含まれるのだろうか?含まれるべきでしょうね」「咎められるのはビンタをしたスミスもだけど、言葉の暴力を発したロックも咎められるんでしょうね?」と、その公式の見解を疑問視する声も上がっているようだ。