大坂なおみが全仏OP棄権表明とうつ病を告白で各界から次々激励メッセージ

テニスの全仏オープンに出場している大坂なおみ選手が、自身のSNS上で「トーナメントや選手、私にとってこれがベスト」と投稿、棄権すると明かした。

大坂をめぐっては、大会前に「これまで何度もアスリートの心の健康に配慮がないと感じていた」と明かし、試合後の記者会見に応じない意向を示していた。これに対し主催者側は、大坂選手に1万5000ドル(約165万円)の罰金を科すことを決定していた。

全世界を巻き込んで物議をかもすこととなった大坂の言動だったが、棄権を発表した今、様々な分野、また様々な国から彼女にエールが届いている。

棄権表明「邪魔になりたくない」

出典:スポニチ

テニスの4大大会第2戦、全仏オープンで記者会見を拒否し罰金処分を受けていた大坂なおみ(日清食品)が先月31日、大会を棄権する意向を表明した。

自身のツイッターに「この状況は私がイメージしたものでも、意図したものでもない。大会や他の選手、私自身の健康を考えると、私が大会を棄権することがベストだと思う。そうすることで、みんながパリで開かれているテニスの大会に集中できる」と書き込んだ。

棄権する理由について「私は邪魔になりたくなかった。(記者会見拒否の公表が)理想的なタイミングでなかったことは受け止めるし、もっとメッセージも明確にすべきだった」と説明した。

うつ病も告白・・・会見のストレスか

また同じツイート内で、4大大会初優勝を果たした2018年の全米オープン後からうつ病になり、その後も精神的に苦しんでいるという旨を明かしている。

自身を「内向的」と表現し、記者会見ではいつも最高の答えを返さなくてはならないと、緊張やストレスを感じていたという。全仏には文書で謝罪し、大会後に話し合いを持つことを提案していたとも明かした。

大坂は27日に自身のツイッターで大会中は記者会見に応じない意向を表明。「アスリートの心の健康状態が無視されていると感じていた」などとコメントしていた。

30日に行われた女子シングルス1回戦では世界63位のパトリシア・ティグ(ルーマニア)に6―4、7―6で勝利。試合後はコート上のインタビューに応じたものの、宣言していた通り、会見には現れなかった。

確かに、試合後の記者会見については賛否両論のようだ。特に大坂のようなトップ選手で、かつ特殊なバックグラウンドも持っている場合は、テニスと関係のないプライベートに至るまで、様々な質問を受けることもざらだ。

「日本では差別を受けていましたか?」「ボーイフレンドとは順調ですか?」といった質問も頻繁に飛び交っていた試合後の記者会見。今回の大坂の意思表明に対してツイッターなどのSNS上では、「あんないじめ(記者会見)応えなくて良い」「なくなればいい」といった意見も相次いでいた。

今後も四大大会に出ない可能性も?

30日に行われた第一回戦後、大坂が宣言通りに会見に応じなかったことを受けて、テニスの4大大会(全豪、全仏、ウィンブルドン、全米)主催者は試合後に共同声明を発表し、大坂の行動を「違反行為」と認定。

全仏側から大坂に1万5千ドル(約165万円)の罰金を科し、繰り返し拒み続けた場合は大会からの失格処分に加え、さらなる罰金や4大大会への出場停止の可能性を通達していた。

そして大坂からの棄権表明を受けて、フランステニス協会は31日に声明を発表。ジル・モレットン会長名で「何よりもまず、残念で悲しく思う。ナオミが大会から棄権するというこの結果は不幸だ。彼女の最善かつ早い回復を祈っている。そして、来年の大会でナオミを迎えることを心待ちにしている」とコメントした。

テニスプレイヤーにとって、4大大会に出られないということは、ランキング上位が望めなくなることとイコールであり、かつスポンサーなどとの兼ね合いも考えれば、今後一切出場しないということは考えられない。

しかしこのまま両者の姿勢が折れずに平行線であれば、そういったお互いにとって不幸な未来もありえるのかもしれない。今後、歩み寄りは望めるのだろうか。

ボルトやウィリアムズが激励!杉山愛は持論展開

今回の事態を受けて、日本国内外から、また様々な分野の著名人から大坂へエールが寄せられている。

元世界女王のビーナス・ウィリアムズは、大坂のインスタグラムに返信。「あなたを非常に誇りに思います。自分を大事にして」と投稿した。

陸上短距離の元五輪金メダリストで世界最速の男・ウサイン・ボルト(ジャマイカ)は、両手を合わせる絵文字を3つ投稿。大坂を励ました。

また、元テニス女王のマルチナ・ナブラチロワ(チェコ)はツイッターで、

「なおみのことがとても悲しい。本当に彼女が大丈夫であることを願っている。選手として、私たちは私たちの体のケアはしろと教えられていたが、おそらくメンタルや感情的な側面は軽くあしらわれていた。これは、記者会見を行うか、行わないか以上の問題。なおみに幸運を。私たちみんなが応援しています」

とメッセージを投稿。他にも多くの著名人から激励コメントが寄せられている。

元プロテニスプレーヤーの杉山愛は、「これだけストレスを感じていたっていうのは、ここまで行動に移さないと分からなかったんだと思う」と語り、大坂がしたことが正しかったか否かには触れなかったが、

「今回はメディアに対応しませんとういうメッセージを発信してしまったが、実際に心の部分で選手のことを、メンタルヘルスを考える、一石を投じたきっかけにはなったかなと思う」

と語った。また、会見に出席したとしても、「答えたくない場合はごめんなさい、答えたくないと気軽に言える記者会見になってもいいのかなと。すべてが答えたくない質問でもないと思う」と、会見内での柔軟な対応があってもいいのでは?との意見を述べた。