今月28日放送の「めざまし8」(フジテレビ系)で、MCを務める谷原章介が、ひき逃げ事件をめぐって不起訴処分となった俳優の伊藤健太郎に向かって、声を張り上げてエールを送るシーンがあった。
伊藤健太郎は昨年10月に、乗用車を運転していた際にバイクとの接触事故を起こし、その後現場から立ち去ったとして、ひき逃げなどの容疑で逮捕されていた。今年3月に不起訴処分となっていた。
そんな伊藤に対してエールを送った谷原に、違和感をもった視聴者も少なくなかったようだ。今回の件に限らず、「めざまし8」のMCに就任してからというもの、失言が多いという声も出ている。
事故後の伊藤健太郎のインタビュー
自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)および道路交通法違反(ひき逃げ)の疑いで伊藤が逮捕されたのが、昨年10月末のこと。バイクの後部座席の20代の女性が左足を骨折、運転していた20代男性が左腕を打撲するけがをした。
この件に関し、この日の「めざまし8」では、『週刊新潮』5月6・13日号(新潮社)で公開された伊藤の独占インタビュー映像を放送した。伊藤は、事故後に立ち去った事実については、
「交通量もすごく多い場所だったので、ここで止まって他の事故が起きたりするっていうよりは、その道も知ってたので、ぐるっと回って戻った方がいいのかなっていう判断をしてしまって」
と、その時思いついた最善の判断だったことを告白するなどした。また、被害者への申し訳なさについて語る場面もあった。
谷原章介がエールを送って物議
それを受けてMCの谷原が、「伊藤健太郎さん、不起訴になって、被害者の方との示談も済んでいるということです」とカメラに向かって伊藤の現状を改めて説明した。
「社会的な罰を受けた後、彼がどのように社会に復帰するのか。キチンとご自分の甘さと向き合って、再出発のチャンスが与えられる世の中であってほしいと思います」
と語った。そして谷原は一呼吸置いた後、「頑張れっ!」と伊藤に向かって大声でエールを送っていた。
この谷原のエールに、視聴者からは「力強いエールに涙が出た」「エールが心に響いた」「谷原さんの言葉に背中を押された」という称賛が集まった一方で、ネット上などでは、疑問の声も。
「全国のひき逃げ被害者や遺族がそれを聞いてどう思うのか」「同業者(=俳優)の忖度」「MCの個人的なエールなんていらない」という批判も多く集まっていた。
不起訴になったとは言え、事故の内容が内容なだけに、谷原のエールに困惑してしまった視聴者も多かったようだ。とはいえ、谷原はただ単に伊藤の肩をもっているわけではなく、「自分の甘さと向き合って」と喝を入れてもいるので、忖度とは言えないようにも見受けられるが、視聴者の受け取り方は多種多様だったようだ。
谷原章介は失言が多い?
今年の3月から、「めざまし8」でMCを務めるようになった谷原章介。実は今回の件に先立って、就任から1週間ほど経った4月上旬にも、発言が「失言」として取り上げられたことがあった。
4月7日の放送でのことだ。4月5日に大阪・ミナミの繁華街にある蟹料理店の巨大オブジェが2人組の男に壊され、男たちが逃走しているため、警察が器物損壊の疑いで捜査中というニュースを受けた谷原のコメント。
お笑いトリオ「3時のヒロイン」の福田麻貴に、「関西って、ケンタッキーのカーネルおじさんがダイブしたりとかありますけど、これ文化的なものなんですか?」と谷原が質問した。話を振られた福田は、「そんなことないです、これはまれなケース」と否定したのだった。
それに対して視聴者からは、「現場は大阪だけど、犯人が関西出身と決まったわけじゃないんだし」「被害に遭った人の気持ちを考えないと。店の看板壊された揚げ句『あなたの住んでる所ってこういうの多いよね』って言われたら悲しくなると思う」と、発言を疑問視する声が挙がったのだった。
また、その日の番組では、青森県で女性が内縁の夫をパン切り包丁で殺害したというニュースも放送された。その際、犯人の母親が番組からのインタビューに対し、「私の育て方が悪かった」と心境を語る場面が流れた。そのVTRを観ていた谷原が、
「お母さん、絶対自分を責めてはいけないと思います」「お母さんが悪いわけじゃない。お母さんの育て方が悪いとは僕は思いません」
と発言。これに対して「よく言った」と賞賛する意見がある一方、事件の経緯や容疑者の家庭環境などの詳細が明らかになってない中で断定的な意見を口にするのはいささか早計ではないか、といった疑問の声が上がるなどもした。
新番組MCゆえの緊張?今後に期待
「めざまし8」は、この春に始まったばかりの新番組。今年3月をもって終了した「とくダネ!」の後釜だ。「めざましテレビ」(毎週月~金曜朝5:25-8:00、フジテレビ系)でストレートに扱ったニュースを深く解説し、独自の生活情報なども充実させる“大人のめざまし”となっている。
番組独自のシステムなどを駆使し、その日最も関心が高く、知るべきニュースを大きく取り上げる同番組。VTRで「めざまし8」ならでは視点で疑問や問題点を浮かび上がらせ、スタジオでは視聴者の疑問を谷原キャスターが専門家に“わかるまで”聞いて疑問を解消する。
そういった形態をとっている番組のため、情報番組のメインキャスターを初めて務める谷原にとっては、初めてのことだらけの中で、自分がぐいぐい突っ込んでいかなければならないという役どころ。まだ始まって1ヶ月といったところで、「失言が多い」「向いていないのでは」と切り捨ててしまうのはいささか時期尚早だろう。
4月12日配信の『ザ・テレビジョン』(KADOKAWA)のインタビューでは、「どんな番組にしていきたいか」を聞かれた谷原は、「大事なのは、僕がブレず、おもねらず、わかったふりをせずに取り組んでいくことかな」と発言しており、気合いが入ってるのは間違いない。
初の帯番組MCという、慣れない仕事がスタートしたばかりの谷原。力みすぎずに、かつネット時代ゆえに失言はできるだけ少なく、自分のペースを掴んでいってほしいものだ。