明治5年に作成された「壬申(じんしん)戸籍」が、インターネットのオークションサイト「ヤフオク!」に出品されていたことが26日分かり話題となっている。
「壬申戸籍」の出品に対し法務省は、「プライバシー保護の観点から問題がある」などとして、サイト運営のYahoo!に取引中止すると共に、文書画像を削除するよう要請。
「あたかも本物の戸籍が売買されているように見え、戸籍行政の信頼を損なうおそれがある」と、法務省はコメントしている。
「壬申戸籍」とは?簡単に説明
出典:Pixabay 画像
今回ヤフオク!に出品され話題となっている「壬申戸籍」とは、明治4年(1871年)の戸籍法に基づいて、翌明治5年(1872年)に作られた戸籍で、士族・平民といった身分や前科が記載さ法務局で厳重に保管され閲覧できないようになっている。
「壬申戸籍」は江戸時代の戸籍原簿や租税台帳である宗門人別改帳に代わり、皇族から平民まで戸を単位に集計した戸籍と言われ、全国一律の基準で集計されている。
日本初の統一的な戸籍である「壬申戸籍」は、当時の身分や前科のほか被差別部落の出身者であることが分かるような記載がされていることもあるようだ。
ヤフオク!に出品されていた「壬申戸籍」は住所や名前に加え、「平民」「賃仕事稼」などの記載があり、徴兵検査に不合格だったとする記載もあったという。
出品者判断で出品取り消し
「プライバシー保護の観点から問題がある」などとして法務省は出品取り消しを24日付で要請した。出品されている「壬申戸籍」の文書の真贋(しんがん)は不明としながら法務省は、
「あたかも本物の戸籍が売買されているように見え、戸籍行政の信頼を損なうおそれがある」
と、コメントしている。25日付でヤフオク!を運営しているYahoo!は、削除は難しい旨を法務省に伝えたようだが、入札期限を迎える前の26日午前8時46分にオークションは終了した。
出品者の判断で出品を取り消したとしている。出品されていた明治5年戸籍とされる「壬申戸籍」は、ひもでつづられ住所や名前に加え「平民・賃仕事稼」などの記載があったようだ。
昭和43年法務省の通達で「壬申戸籍」閲覧対象外にし封印指示。それまでは市区町村で本人以外も閲覧可能だったようだ。現在は厳重に法務局に保管されており、法務局職員も含め閲覧することはできない。