フィギュア坂本花織が悲願のメダル!ドーピング問題のワリエワはミス連発で号泣

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開幕中の北京織ピックにおいて、ロシア(ROC)選手のドーピング問題で、注目を浴びていたフィギュアスケート女子。男子シングルでは、鍵山優真選手が銀メダル、宇野昌磨選手が銅メダルに輝いたことは既報の通りだ。

女子シングルの出場選手は、全日本選手権優勝の坂本花織選手(シスメックス)、全日本2位の樋口新葉(わかば)選手(明大/ノエビア)、河辺愛菜選手(木下アカデミー)。日本のお家芸でもあったフィギュアスケートだが、女子シングルでは浅田真央以来メダルを獲得できていなかっただけに、今回も期待を浴びていた。

そんな中で、全日本1位の坂本花織選手が悲願のメダルを獲得した。ロシア(ROC)の「三強」一角を崩し、手に入れたメダル。今回の記事では、坂本選手本人のコメントや恩師のコメント、またドーピング問題で渦中にあったワリエワ選手などにも触れていく。

強豪ロシアに割って入ったショートプログラム

出典:シスメックス公式サイト

ROC選手のドーピング問題で注目を集めた女子フィギュア。日本からは、坂本花織選手が銅メダルを獲得した。フリーで自己ベストの153・29点を出し、合計233・13点をマークした。2010年バンクーバー大会銀メダルの浅田真央選手以来、4人目の日本女子表彰台に立った。

金メダルはアンナ・シェルバコワ選手(ROC)、銀メダルはアレクサンドラ・トルソワ選手(ROC)が獲得。ドーピング違反騒動に揺れる15歳、カミラ・ワリエワ選手(ROC)は4位だった。

フィギュアスケートのシングルでは、SP(ショートプログラム)とFS(フリースケーティング)の合計点数で争う。「打倒ロシア」を掲げて臨んだ今大会、坂本選手は15日のショートプログラム(SP)の段階では3位だった。

ドーピング検査で陽性反応を示しながら、異例の判断で出場を認められたカミラ・ワリエワ選手は、82・16点で、ショートプログラムの段階では首位に立った。

大技がないハンデの中でミスない演技

続いて17日、運命のフリーの日。直前に演技をしたトルソワ選手が、4種類の4回転ジャンプを5本跳ぶ構成で衝撃的な得点を出して会場がわく中で、緊張のフリー演技を迎えた坂本選手。

近年のフィギュアスケートでは、いかに難易度が高いジャンプをたくさん、ミスなく飛ぶことができるかというのが争点になっている。安藤美姫の4回転ジャンプや、浅田真央の3回転アクセルはその良い例だ。ROC選手の強みも、ジャンプにある。そんな潮流の中で坂本には、大技がないというハンデがある。それでも、完成度の高い演技を次々と見せた。

冒頭で、流れのあるダブルアクセルを着氷。3回転ルッツもなめらかに決めた。3回転フリップからの連続ジャンプ、3回転サルコーも危なげない。連続3回転ジャンプは後半のトーループに高さがあり、3連続ジャンプも安定感は抜群だった。

最後の3回転ループも含めて、ジャンプはミスなく全て成功させた。最後まで集中力を保ち、高さとスピードある演技。終えた後は静かなガッツポーズをみせた。

坂本選手の合計得点は、演技を終えた時点で2番手。後に演技をした世界女王のシェルバコワ選手がそれを上回り、3位に落ちる。そして最後には、歴代最高得点を持つ、ドーピング問題で渦中のワリエワ選手が最終滑走者として残るという展開になった。

ドーピング問題のワリエワ、4位に沈む 坂本も同情

ショートプログラムでは首位に立ち、また歴代最高得点ももっているワリエワ選手が最終滑走者。この時点で坂本選手は3番手。運命を分けるワリエワ選手の演技が始まると、それは予想もつかないものだった。

世界中から批判を浴びることとなってしまった15歳のワリエワ選手は、重圧に勝てなかったのか、ジャンプのミスを連発するなど、精彩を欠きっぱなし。彼女らしくない失敗の連続となった。

坂本選手の恩師である中野園子コーチは、教え子の成績を「神様が味方してくれたんだと思います」と表現した。

「ワリエワ選手のそういう(ミスを連発する)姿を見たことがなかったので。必ずいつもパーフェクトな演技をしてくる選手ですから。(坂本は)4位だなと思っていたので」

と正直な思いを振り返ったが、ワリエワ選手は本来の滑りを見せられず4位に。最終滑走であるワリエワ選手が演技を終え、合計点数で坂本選手が上回り、銅メダルが確定した。

得意のジャンプが乱れ、尻もちをつくシーンが繰り返されたワリエワ選手。今季、ここまで世界最高得点を何度も更新し、金メダルの最有力候補に挙がっていたワリエワ選手は演技を終えた直後、力なく右手を振った。

得点が表示されると、手で顔を覆って号泣した。あまりの強さから周囲の選手が戦意を喪失するため「絶望」の異名を取った15歳の五輪は、思わぬ形で幕を閉じた。ドーピング問題のために、「暫定」扱いでの4位。今後の判断によっては、失格となり、以下の選手の順位が繰り上げとなる可能性もある。

のちのインタビューでワリエワ選手について尋ねられた坂本選手は、「正直、見るのがつらかった。いや、つらかったです。団体の時の勢いがイメージであったので、今日はどうしたんだろうなという感じで見ていました」と話した。

坂本選手コメント 成長した4年間

銅メダルを獲得した団体戦、そして個人。ワリエワ選手のドーピング問題により、SP、フリー最終グループが練習から騒がしい中、坂本選手が集中力を切らさず、懸命にやり抜いた。

「トレーニングがきつかったり、毎日『練習疲れた~。いつまで続くんだろう』っていうのを思っていました。でも、試合で笑って終われた時は『あの苦しさがあったからこそ、笑えるんだな』って感じた。そこからは追い込めば追い込むほど、自分が満足した結果を出せると思えました」

と話す。 コロナ禍を経て、復活した昨季。そして全日本女王に返り咲いた今季。4年前、平昌五輪の団体戦出場後にはストレスで救急搬送されてしまい、個人戦に間に合わせるのがやっとだったが、今の彼女は強くなった。坂本選手は五輪に確実な成長の跡を記した。

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この記事を書いた人

某鉄道会社で広報を担当のち、脱サラして世界を放浪しているayaです。オランダ移住が目下の目標です。よろしくお願いします。