また、柔道大国であるフランスの放送局「ユーロニュース」も、この件を報道。「日本の柔道家がブダペストで重量級の日に栄光を掴む」との見出しで報じた記事で「ハイライトは、アサヒナが負傷した仲間を畳から運び降ろした、感動的なスポーツマンシップの場面だった」と称賛した。
「あの場に置き去りにはできなかった。おぶったのが正しい選択かは分からないが、一緒に畳に礼をして出るのは最低限やること」
自身の行動を朝比奈はこう振り返った。昨年4月に独協医大の医学部に入学した「闘う医学生」。医者の卵として、柔道家として、畳の上に放ってはおけなかった。
東京オリンピックも柔道に注目
今回の世界選手権は、個人戦の男女各7階級を終え、東京オリンピックの代表選手が出場しなかったという条件の中で、日本の金メダルは朝比奈も含め女子が3個、男子が2個という成績だった。
東京オリンピック開催まであと一ヶ月少々というところで、毎回オリンピックではメダルを量産する日本柔道の今大会での見どころをおさらいしておこう。
前大会・2016年リオデジャネイロオリンピックでは金3、銀1、銅8個という、数ある競技種目の中でもまさにメダルラッシュだった柔道競技。メダルの獲得が最も期待できるといっても過言ではない、日本のお家芸だ。
まず見逃せないのは、男子66キロ級の阿部一二三(ひふみ)と、その妹で女子52キロ級の阿部詩(うた)だ。言わずと知れたこの阿部兄妹は、どちらも金メダルが期待できる実力者だ。
また、2016年リオデジャネイロ大会で優勝をおさめた男子73キロ級大野翔平の二連覇もかかっている。前大会、圧倒的な強さでライバルたちを畳に沈めてきた猛者は、今回も頂上をとることができるだろうか。
東京オリンピックでの柔道競技は7月24日、女子の最軽量級である48キロ級を皮切りに、1週間かけて男女各階級と団体戦が行われていく。今回もメダルラッシュに期待が高まる。