今年は夏季の東京五輪、来年には冬季の北京五輪を控え、注目が高まるスポーツ界。そんな中、日本のある女子柔道選手の行動に注目が集まり、海外でも称賛されている。
ハンガリーの首都ブダペストで開催された柔道の世界選手権。今月12日の女子78キロ超級決勝は、朝比奈沙羅(あさひな・さら=ビッグツリー)と冨田若春(とみた・わかば=コマツ)による日本人対決だった。感動シーンはその試合直後に起こった。
屈辱の全日本選手権から世界女王に返り咲き
試合は膝の負傷を抱えた冨田に3つ目の指導が出され、朝比奈が優勝。2018年以来、2大会ぶり2度目の制覇を果たした。反骨心を前面に出した朝比奈が世界女王に返り咲きという形となった。
朝比奈は東京五輪代表を逃し、補欠に決まったが、昨年12月の全日本女子選手権(体重無差別)では、第1シードのポジションでありながら初戦で中量級の高校生に完敗してしまった。朝比奈本人もこれには驚いたことだろう。
本来は重量級の選手のほうが有利だとされる体重無差別の大会で、初戦で70キロ以下級を主戦場の高校生に負けてしまったこの結果に、連盟内部やSNSでは厳しい声が相次いだ。朝比奈は「戦う医学生」、二足のわらじで勉学にも柔道にも取り組んでいるため、「練習不足」との指摘も出た。