キックボクシングの“神童”こと那須川天心(22=TARGET/Cygames)が、今月10日に放送されたTBS系「炎の体育会TVSP」に出演し、来年3月開催予定の「RISE」を最後にキックボクシングを引退し、ボクシングに転向することを発表した。
那須川が今後出場するキックボクシングの試合数は、最少で2試合、最大でも4試合を予定している。キックボクシングを引退後は同2022年中のボクシングデビューを目指す。
那須川が主戦場を変えることで、かねてより本人たちが熱望しているK1王者「武尊(たける)」との直接対決が実現するかどうかや、ボクシングで井上尚弥と対決する可能性もあるのでは、と期待が高まっている。
常に挑戦者!ゼロからのスタート
史上最年少16歳で 『RISE』のバンタム級王座を獲得し、「神童」、「キックボクシング史上最高の天才」などと称されている那須川。そんな彼が2022年3月をもってキックボクシングを引退し、ボクシングへ転向することが正式に決定した。
現在はキックボクシングの練習に加え、パンチの技術を上げる練習をメインに、ボクシングデビューに向けて準備中だという。キック引退と同年の2022年中にデビューを目指す。
那須川は最強のチャンピオンとして、ここ数年は常に挑戦者を迎え撃つという立場だったが、迎え撃つ立場を捨て、ゼロからの挑戦者となる。
頂点に立った自分の立場に甘んじることなく、“常に挑戦していたい”という本人の思いから、キックボクシングを引退し、ボクシングへ転向することになった。
「キックの技術があるからこそ、ボクサー相手にも通用する部分があると思う。転向へ向けてボクシングの練習を開始してからは、毎日刺激しかない。ボクシングにおいては一番下からのスタートだから、上にどれだけ強い選手がいるんだろうってわくわくする」
と、転身に前向きな気持ちであることは間違いないようだ。
近いうちに井上尚弥との対決も実現?
これまでにも近い将来にボクシングに転向する意向を示していた那須川だったが、時期を明言したのは今回が初めてとなる。キックボクシングでは残り2~4試合しか残されていなく、カウントダウンとなるが、
「全試合KOしたいですね。ただ、引退へ向けたカウントダウンとなる数試合だからといって、いつもと何かを変えるのではなく、これまで通りの準備・調整をして試合に臨みたい」
と「王者の風格」を見せた。ボクシング界でリスタートを切るにあたって、注目されるのが階級だ。
RISE世界フェザー級王座(57.5キロ)およびISKA世界フェザー級(58.2キロ)王座を獲得している那須川の現在の公称体重は体重は56.8キロだが、最新試合となる今年2月28日の志朗戦は、自身が「適正体重」と認める55キロで闘っている。
ボクシングはフェザー級のリミットが57.1キロ、スーパーバンタム級が55.3キロのため、転向後はどちらかが主戦場となりそうだ。
元K―1王者の武居由樹(24=大橋)は、今年3月に54.5キロ契約でプロボクシングデビューしており、那須川がスーパーバンタム級でキャリアをスタートさせれば、早い段階で対戦の可能性もある。
また、「モンスター」と呼び声の高いWBA&IBF世界バンタム級統一王者・井上尚弥(28=大橋)は近い将来に階級を上げる構想もあり、モンスターVS神童というファン垂涎の夢対決が実現するかもしれない。
一方で、井上は自身のキャリアに対して、
「終わりに近づいているのは間違いない。キャリア後半に入っていることを考え、自分の体と向き合わないといけない」
と28歳になる抱負を口にした上で、29歳までの1年間で3試合消化とバンタム級で4団体統一を目指すという目標を掲げてもいる。井上の引退前に那須川との試合が実現するだろうか。
武尊とは一触即発!?対決実現なるか
キックボクシングでの試合が限られた中で、ファンが最も注目しているのはK―1ワールドGPスーパーフェザー級王者・武尊(たける=29)とのドリームマッチが実現するかどうかだろう。
かねてより両者が熱望しながら、所属団体への義理立てなどから実現には至らなかった、那須川天心VS武尊戦。ただ、昨年大みそかには武尊がさいたまスーパーアリーナで開催された「RIZIN.26」に足を運び、那須川も先月28日に東京・日本武道館で開催されたK―1の「K’FESTA.4 Day.2」に来場した。
両者が対戦実現に向けて動いていることは確かだ。あとは会場の確保、そして両陣営の歩み寄りさえ潤滑に進めば、本人たちもファンも熱望しているこの夢の対決の実現もそう遠くはないだろう。
今年5月に東京ドームでの開催が予定されている「RIZIN」あるいは来年2月に開催されると予想される「RISE ELDORADO」がその舞台となるのか。それとも2人のために別の舞台が用意されるのか。今後のゆくえに注目だ。