4月4日、福岡国際センターにて「柔道・全日本選抜体重別選手権」が開催された。今年3月24日に急逝したことが発表された、五輪メダリストの古賀稔彦さん(享年53)の次男である古賀玄暉(旭化成)が、男子60キロ以下級で悲願の初優勝を果たした。
優勝インタビューでは、亡き父に思いを馳せて、涙も見せた玄暉。今回の全日本体重別選手権は、6月に開かれる世界選手権(ハンガリー・ブダペスト)の代表選考会を兼ねている。
また、女子のほうでは、48キロ以下級の角田夏実や、57キロ以下級の舟久保遥香が「かわいい」とも話題になっている。
平成の三四郎の早すぎる死
鮮やかな背負い投げを持ち味に、「平成の三四郎」と呼ばれたバルセロナオリンピック(1992年)金メダリストの古賀稔彦さん。続くアトランタオリンピックでも銀メダルを獲得し、オリンピックには3大会連続で出場した。
2000年に現役を引退したあとは、日本代表のコーチや、大学の総監督としてトップ選手を指導してきた。みずから柔道の私塾「古賀塾」を設立し、子どもたちの指導を行うなど柔道の普及活動にも尽力してきた。
そのように柔道界を、ひいては日本のスポーツ界をけん引してきたヒーローの急逝のニュースは、世間に衝撃を与えた。名だたるアスリートや格闘家、また戦う古賀さんの姿に勇気をもらってきた著名人などが追悼のコメントを発表した。
はなわ「佐賀の英雄」古賀稔彦さんの優しさ明かす #はなわ #古賀稔彦https://t.co/AiAUjMK0Vc
— 日刊スポーツ (@nikkansports) March 25, 2021
僕の物差しではSNSでは人の死に触れない。そんな軽いものじゃない。
— Satoshi Ishii | 石井 慧 (@SatoshiIshii) March 24, 2021
関係者によると古賀さんは昨春からがんで闘病中だったといい、昨年には手術をし、療養中だったという。また、亡くなる数日前に容態が急転したということだ。
ショックを受けたのは世間もだが、もちろん近くで古賀さんを支えてきた家族の悲しみは計り知れないことだろう。古賀さんの次男である玄暉にとっては、父の死からそう経たないうちに迎えた全日本体重別選手権だった。
次男・古賀玄暉が亡き父に捧げる初V!
4月4日、全日本体重別選手権。東京オリンピック前の、6月に開かれる世界選手権(ハンガリー・ブダペスト)の代表選考会を兼ねて行われた。
男子60キロ以下級に出場した古賀稔彦さんの次男・玄暉。準決勝で優勝候補の選手を破り、決勝では竪山将(パーク24)に10分14秒で合わせ技一本で勝利。亡き父が7回制覇した同大会で、悲願の初優勝を果たした。
大会前の先月29日には、自身のインスタグラムに父との思い出の写真を投稿した玄暉。「柔道家として、男として、永遠の憧れです。そして、いつも強く優しい世界一の父でした。恩返しできるよう、教わったことを忘れずに、これからも一生精進・常に前進していきます」とつづり、「#恩返しを原動力に」と加えた。
古賀玄暉は3歳から、父の指導する古賀塾で柔道を始めた。この春に日本体育大学を卒業し、旭化成に入社した。18年世界ジュニア選手権優勝などの実績を持つが、本大会は初制覇となった。優勝インタビューでは涙しながら、
「うれしい気持ちが一番。いろいろあったが、(父に)何も恩返しできずになくなってしまったので、何としても優勝したいという気持ちで戦いました。試合の合間にいつも(父が)連絡をくれていたので、それがないのは寂しかったが、覚悟は今まで以上に強くなっていたので、最後まで勝ち切ることができました」
と思いのたけを明かした。
女子の結果にも注目!柔道界の能年玲奈?
-また、男子の大会の前日に行われた女子の結果にも注目が集まっている。女子48キロ級を果たしたのは、東京オリンピック代表補欠の角田夏実。52キロ以下級で2018年・2019年と2連覇した実績をもつ実力者だ。
決勝ではわずか30秒弱で一本勝ち。圧巻だった。そのキュートなルックスや私服などがネット上で噂される彼女だが、大きな大会で優勝したことでまた話題となっている。
あわせて、女子57キロ以下級で初優勝を果たした舟久保遥香(ふなくぼ はるか)にも注目が集まっている。以前から「柔道界の能年玲奈(のん)」と噂されてる、山梨県出身の美人柔道家だ。
舟久保は、「2度準優勝だったが、3度目の決勝で勝つことができてうれしい。入社5年目なのに勝ってなかったので危機感を持っていた。パリ五輪を目指したい」と喜びのコメントを残している。
今大会では、東京オリンピック代表選手の出場はなかった。本大会で頭角を現した若き実力者たちが、次のパリ五輪で活躍する姿を期待してしまう。