お笑いコンビ「極楽とんぼ」の加藤浩次について、エージェント契約を結んでいた吉本興業との契約が解除となることがわかった。
契約解除に関しては、今月9日、吉本興業の公式ホームページで発表された。相方の山本圭壱に関しては、すでに吉本からは離れている。
加藤浩次は2019年に芸人たちの「闇営業問題」が発覚した際に、「このままの体制なら退所する」と発言した過去がある。それが尾を引いている形だろうか。
今月末で契約終了へ
吉本興業のサイトでは加藤浩次との契約について、期間満了のため今月末をもって終了と説明。
「タレント加藤浩次は当社とエージェント契約を締結したうえで芸能活動を行っておりましたが、双方の協議の結果、同契約の期間満了により2021 年3 月31 日(水)をもってエージェント契約を終了することになりました」
とした。続けて、
「加藤浩次の新しい環境での活躍を応援してまいる所存です」「ファンの皆様、関係各位におかれましては、引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます」
と呼びかけた。また、加藤の今後の出演依頼などの問い合わせ先のアドレスも明記された。
闇営業問題後の発言が原因?
加藤が「吉本を辞める」と宣言し、世間をざわつかせたのは記憶に新しい。2019年に闇営業に端を発した“お家騒動”に見舞われた吉本興業で、上層部が退任しなければ会社を辞めると宣言したのだ。
闇営業に関わったタレントたちには、人気芸人も含まれるために大きな注目が集まったが、当初の報道では個々の芸人の問題とするものが多かった。
しかし、のちのち責任の所在は誰かという点について、彼らの多くが所属していた吉本興業にもその目が向けられたのだ。
詳細は後述するが、闇影響問題の裏には吉本のマネジメント不足があるということで、これをきっかけに、会社からの待遇などにSNSや各種メディアで不満を漏らし、いわばタレントらによる「一揆」のような状態に。
所属芸人たちと会社との対立構造は、世間から見ても明らかとなった。
そんな中で、吉本からの退社を示唆したのがダウンタウン・松本人志と、加藤浩次の2人だった。
松本は自身がMCを務めるテレビ番組『ワイドナショー』(フジテレビ系)内で、
「僕はちょっと吉本興業にはいたくないかもって言いました。考えさせてくださいと。こんな会社じゃ絶対ダメだと思うから」
と大胆な発言。大御所の発言に世間が震撼した。続く加藤も自身がMCを務める『スッキリ』(日本テレビ系)内で、
「記者会見でしっかり説明してくれないと、僕は納得しない」「芸人たちが上層部を怖がっている状況がずっと続いてきた。この体制、今の社長、会長体制が続くのなら僕は吉本興業を辞める」
と断言。その翌日、吉本の大崎洋会長と約3時間にわたって面会したそうだ。
その結果として加藤は、自身が発案した、「事務所は営業活動は行うが日程管理や送迎、マネジャー業務などのマネジメントは行わない」という「エージェント契約」を結んでいた。
これは海外ではメジャーな契約の仕方でもあり、事務所とタレントの関係は対等で、仕事を選ぶこともできるため自由度が高くなるという利点がある。
上層部の人事に変更はなかったものの、これを機に自由度が高くなったことや、会社も体制を見直し始めたことで、その時点では吉本に残留する運びとなっていたのだった。
加藤浩次の2番組終了は確執の証拠?
円満に解決したかに思われていたが、その後、「辞めてもらってかまわない」という声が吉本社内から出ているという噂も流れるようになった。
上層部を糾弾した加藤を、そのままではいさせないという気持ちの層もいたということだろう。
契約終了にあたって加藤と吉本との間に具体的に行われた協議の内容は明らかはないが、このタイミングで加藤のもっている番組が2つ終了することにも注目が集まっている。
終了するのは、バラエティ番組『この差って何ですか?』(TBS系)とサッカー情報番組『スーパーサッカー』(TBS系)。
前者は3月2日に最終回を迎え、最後は加藤が、
「文句苦情受け付けません!なぜならこの番組、きょうで終わりだからです! さよならー!」
と言い放ち、終了した。後者は3月28日が最終回の予定となっている。
このTBSの2番組の終了が明らかになった時点で、「吉本から加藤への圧力」「粛清」とも揶揄されたが、当の加藤浩次はというと、
「吉本さんは、国とか地方自治体と仕事してんのよ。そういう会社がね、粛清とかしたら大変なことになるでしょうよ」
と、「粛清」的な意味合いはないと否定した。
吉本の体制は是正されたのか
「闇営業問題」発覚当時、吉本における給料問題・マネジメント問題は、褒められたものではなかったようだ。
しばしば語られるところには、吉本はギャラが安いというものがある。吉本の芸人たちはテレビ番組でなかば冗談かのように話すが、これは芸能界まわりでは当然のこととして知られている。
お笑いコンビ「ピース」の綾部祐二は、吉本においてのギャランティの取り分は、タレントと事務所側で1:9の配分だと番組で話したこともあるほどだ。
また、マネジメント勢の不足も頻繁に語られる。マネージャーが複数タレントを掛け持って担当しているのはよくある話で、番組からの連絡事項などもなかなかタレントに伝達されず、直接番組側とタレントがやりとりしなければならないということもしばしばあるのだとか。
そうした流れで、タレント自身がマネージャーを介さず個々人の力で仕事をとってくるということもしばしばあったようだ。闇営業問題も、その先に起ったものだ。
闇営業問題をきっかけに、どんなに小さな仕事でも会社に報告しなければならないといった決まりはできたという。ギャラの改善があったかは不明だ。
とはいえ、ここ最近だけでもオリエンタルラジオ、キングコングの西野、そして加藤浩次と、次々と離脱していくタレントたちがいることを考えれば、ひょっとしたら基本的な体制には変化がないのかもしれない。