今月7日、東京アクアティクスセンターにおいて競泳・ジャパンオープンが開催された。オリンピックの代表選考会となる4月の日本選手権の前哨戦と位置づけられている大会だ。
女子50メートル自由形では、白血病からの完全復活を目指す池江璃花子(いけえ りかこ)=ルネサンス=が予選を1位で通過し、決勝に出場。
池江は復帰後の自己ベストとなる記録をマークし、銀メダルを獲得。復帰後初の表彰台に立った。
「成長を感じた」本人も満足
池江にとって、今大会は復帰後4戦目。
予選で復帰後最速の25秒06をマークして全体1位で通過した池江は、決勝レース、4レーンからスタート。スタートで頭ひとつ出遅れたが、後半に挽回した。
決勝では復帰後最速となる24秒91をマーク。24秒75で優勝した大本里佳=ANAイトマン=に次ぎ、2位でゴールした。
トップ選手が集結した中で、好記録で2位に入った池江。復帰後初の表彰台に立ったが、惜しくも0秒16差で1着には届かなかった。
「すごくハイレベルなレースの中で2位に食い込めたことは、自分の成長をすごく感じられたレースだったかなと思います」
と満足げな様子を見せた。また、タイムにも言及。
「目標が25秒3くらいだったので、予選から(目標を)大幅に更新できたことと、決勝でそれ以上に上げられたことはすごく良かったです。自分の中では自己ベストと捉えています」
と、今できる力を出しきれたことを思わせるコメント。声を弾ませた。
復帰から半年で1秒以上縮めた記録!
池江は昨年8月に実戦復帰し、同種目で26秒32をマーク。10月の日本学生選手権では25秒62とタイムを縮めていた。
本大会の予選でそのタイムをさらに縮め、決勝ではさらに24秒台を記録した。なお、自己ベストは日本記録の24秒21だ。着実にタイムを縮めている。
これには本人も手応えを感じている様子。さっそく喜びのInstagram投稿も確認できた。
「まだ(再び)泳ぎ始めて1年たってない中で、自己ベストからコンマ何秒という世界に戻って来られてすごくうれしい。過去は置いておいて、さらに上を向けるようにしたい」
と、過去の自分の記録にとらわれることなく、今の自分のベストを目指していきたいと話した。予選後には「この舞台に戻ってこられた」と涙も見せた。
一方、優勝した大本は24秒75で自己ベストを更新し、笑顔でガッツポーズ。レース後のインタビューでは、
「久しぶりに24秒台で泳ぐことができてうれしかったですし、目標としていたタイムを出すことができて本当に今は嬉しい気持ちでいっぱいです」
と心境を語った。また、「ライバルがいるからこそ頑張れる」と、復帰した池江の存在を意識していることを思わせるコメントも残した。
今は東京オリンピック目標ではない
池江は病気からの復帰後はこれまで自由形のみに出場しており、100メートルでは4月の日本選手権(東京オリンピックの選考会を兼ねる)の参加標準記録を突破している。
なお、現時点では日本選手権のエントリー種目などは未定だという。
「自分の体調ともしっかり向き合っていかなきゃいけない。あまり無理せず、今年は東京五輪をめざしてやっているとはいいきれない。そこは焦らずやっていきたい」
と強調し、「今年は50メートルの自由形で王座奪還することが目標」とも語った。
次戦の東京都オープン(2月20、21日・東京辰巳国際水泳場)では、復帰後初めてバタフライを泳ぐ予定になっている。
瀬戸も復帰!荻野は6位
日本水連は、新型コロナのために4月の五輪代表選考会を欠場する選手が出た場合に備え、今大会の記録も選考対象とすることを決めている。
なお、大会は新型コロナウイルス感染拡大防止のために無観客で開催された。
男子の注目選手としては、男子400メートル個人メドレーで東京五輪代表の瀬戸大也(TEAM DAIYA)が4分12秒57で制した。
不倫問題で昨年いっぱいの活動停止処分を受けていた瀬戸にとっては、約5カ月ぶりのレースだった。
シンガーソングライター・miwaの夫でリオデジャネイロ五輪金メダルの萩野公介(ブリヂストン)は、4分16秒38で6位となった。
成人式写真も話題!ドレスに振り袖
池江といえば現在20歳。先月には、成人の日を迎えたということで披露した写真の数々が話題となった。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、成人式じたいはなくなってしまったということだが、前撮り写真を披露してくれた。
「本日成人の日を迎えることができました」と報告した池江は、前撮り写真である振り袖と赤いドレス姿を披露。
コメントには成人の日を迎えたことへの祝福のほか、「モデルさんみたい」「美しい」「着物も振り袖もどっちも似合う」と感嘆の声も寄せられた。