水俣病が題材 ジョニー・デップ製作・主演の映画MINAMATA

ジョニー・デップが製作/主演する映画『MINAMATA-ミナマタ-』(9月23日公開)より、本編映像が解禁された。激化する抗議運動の中、主役のユージン(ジョニー・デップ)が体を張りシャッターを切り続けるシーンだ。

本作は実話を元にした物語で、写真家のウィリアム・ユージン・スミスと妻のアイリーン・美緒子・スミスが1975年に発表し、水俣病の存在を世界に知らしめた写真集「MINAMATA」をもとにした物語。

劇中ではジョニー・デップ演じるユージンが、妻アイリーンとともに熊本県・水俣で暮らし、人々の日常や抗議運動、補償を求め活動する様子を写真に収めていく構成となっている。

実在の写真家がモデル

出典:映画「MINAMATAーミナマター」公式サイト

アンドリュー・レヴィタスが監督、デヴィッド・ケスラーが脚本を担当した本作「MINAMATAーミナマター」は9月23日より東京・TOHOシネマズ 日比谷ほか全国で公開される予定となっている。

日本各地で公害が社会問題となっていた1970年代、日本における“四大公害病”の一つが水俣病だ。舞台は熊本県水俣市。チッソ水俣工場による工業排水を原因とし、現在まで補償や救済をめぐる問題が続く。

その惨状を世界に知らしめた告発したのは、写真家ユージン・スミス(William Eugene Smith)とアイリーン・美緒子・スミスが1975年に発表した写真集「MINAMATA」だった。

ユージン・スミスはアメリカ・カンザス州の生まれ。第二次世界大戦中にはサイパン、沖縄、硫黄島などで戦争写真家として派遣されたこともある。戦後、時の大事件から一歩退き、日常にひそむ人間性の追求や人間の生活の表情などに興味を向けるようになる。

1970年、51歳のときに、ニューヨークでアイリーン・スプレイグ(のちの妻となるアイリーン・美緒子・スミス)と出会う。当時弱冠20歳のアイリーンは、アメリカ人と日本人のハーフで、大学生であった。

ユージンはアイリーンに自分のアシスタントになるよう求め、2人は同居するようになった。そんな中で知人から日本の水俣病を取材することを提案されたユージンはアイリーンとともに来日し、さらに東京で挙式。正式に夫婦となった。

そして1971年から74年の3年間にわたって水俣の患者多発地区で住民と寝食を共にし、夫婦でともに原因企業チッソが引き起こしたメチル水銀被害-水俣病と、水俣で生きる患者たち、胎児性水俣病患者とその家族などの取材・撮影を行ったのだ。

本編映像が解禁 著名人もコメント

数々の問題を提起するこの話題作。このたびYou Tubeで、本編映像の一部が解禁された。チッソ工場に対し、怒りや憤り、悲しみを抱え、抗議の声をあげる人々の姿を捉えたシーンだ。

工場の門の前、亡くなった家族の遺影を持つ人や抗議の旗を掲げる人たちで大混乱となる中、ユージンは真実を写し出すため、体を張り果敢にシャッターを切り続ける。

この悲惨で危険な状況に、ユージンは妻のアイリーンに「君は離れて」と声を掛けるが、火炎瓶の煙を吸い咳き込みながらも「あなたといる」と答えるアイリーン。抗議者に揉みくちゃにされ、次第に距離が離れていく二人。暴動に押されチッソの工場の門が開き、ユージンはそのまま中に入っていく…。

各界の著名人からも鑑賞コメントが届いている。黒柳徹子は、「日本人でも、よくわからないミナマタの痛みを、カメラマンのユージン・スミスが教えてくれる。ユージンを演じるのはジョニー・デップ。ハリウッドのスターがオーラを消してやってくれているのだ」とした。

シンガーの南こうせつは、「たった一枚の写真が人の心を動かし、公害問題として世界中にメッセージした。戦後の豊かさの陰でMINAMATAは犠牲となった。その責任は、今地球上で暮らしているひとりひとりにある。もはや目を逸らしてはこの星の未来はない」としている。

また俳優の武田鉄矢は、「美しい物語です。勿論、水俣病訴訟に身を置いた報道写真家の体験ですから、重く怒りに満ちています。しかし暗くない。水俣の人々の描き方が深く、美しいのです。痛ましい出来事の中に、これほど美しい人々がいたことに驚きます」と感想を残している。

日本人として、またこの時代に生きる者として、私たちも知っておくべきメッセージがこの映画には多く詰め込まれていそうだ。

共演は真田広之や浅野忠信ら

「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズ、「チャーリーとチョコレート工場」などをはじめ、あまたの映画作品で知られる米人気俳優のジョニー・デップ。世界で10番目に高い興行収入を誇る俳優だ。

実は、ジョニー・デップはユージン・スミス氏に昔から憧れを抱いていたのだという。映画のオファーに応じることは「考えるまでもないことだった」と語っており、自らプロデューサーにも加わった。

プロデューサーおよび主役はジョニー・デップが務めるが、舞台は日本であることから、当然日本人のキャストも数多く登場する。妻のアイリーン役には、女優の美波(母が日本人、父がフランス人)が抜擢された。

その他、実際に熊本県出身である俳優の國村隼や、真田広之、浅野忠信、加瀬亮、などの名前が公式ではすでに発表されている。中でも真田広之は作品の「メッセンジャー」として、多くのシーンで重要なせりふを見る者に投げ掛ける未認定患者らのリーダー役を演じた。「闘いは子や孫の世代まで続いていく」と仲間を鼓舞する。

また、音楽は「ラストエンペラー」でアカデミー賞を受けた坂本龍一が担当するということで、劇中の音楽にも期待できるだろう。

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