愛媛県を拠点に地元で活動する地下アイドルグループ「愛の葉Girls」のメンバー大本萌景さん(享年16)が今年の3月に自殺した問題で大きな波紋を呼んでいる。
「愛の葉Girls」のメンバー大本萌景さんの遺族が、自殺の原因が所属事務所「Hプロジェクト」によるパワハラや過労で精神的に追い詰められたためだとして損害賠償を求める訴訟を松山地裁に起こした。
11日に都内で行われた会見には母の幸栄さん(42)と姉の可穂さん(19)が出席し、大本萌景さん亡くなった経緯や悲惨なアイドル活動の実態を涙ながらに明らかにした。
大本萌景さんの自殺
中2の夏に「愛の葉Girls」の研修生としてグループに加入した大本萌景さん。真剣にアイドルを目指し活動をしていたが、あまりにも過酷な活動に耐えられず事務所スタッフに「辞めたい」と伝えたという。しかし、返ってきた言葉は、
「次また寝ぼけたこと言い出したらマジでぶん殴る」
と言われたという。なんとかアイドルを続けていたが、日曜日に授業があることが多い県立松山東高の通信制に入学してからはイベントと授業が重なり悩んでいたそうだ。
学業とアイドル活動を両立するためには、平日に授業を受けられる全日制高校に入り直すしかないと佐々木社長の進めもあったことから、進学費用は事務所が貸してくれる約束だった。
16歳の少女を追い込んだ事務所
そんな中、大本萌景さんの母が契約満了の2019年8月でアイドルを辞めたいと事務所スタッフに相談した途端に事務所は対応を豹変。その後、大本萌景さんは所属事務所の社長から、
「辞めるなら違約金として1億円を支払え」
と強い口調で言われたというのだ。事務所との契約書にはペナルティー料の項目があり、メンバーはスキャンダル発覚時や守秘義務違反(家族にも秘密)などで50万円・100万円という罰金を払うなど様々なありえない契約内容だったようだ。
16歳の少女である大本萌景さんは本気で払わなければならないと一人悩み自殺という道を選んでしまったようだ。
AKB48クラスのアイドルでも・・・・
誰もが憧れるアイドルグループへと成長したAKB48がブレーク後にはアイドル戦国時代というくらいアイドルが乱立し、今では1000近くのアイドルグループが全国に存在しているという。
そんな中、地方で露出を増やすには、運営側は報酬が安い自治体の主催イベントなどに参加し知名度を上げていくしか無い。
ご当地アイドル自体がボロ儲けができるビジネスとはいえないのが実情だ。大人気グループでも新人時代は月収10万円台が当たり前だという。地下アイドルの中には交通費すら支給されず、ノーギャラで働く女性も少なくない。
アイドルの悲惨な環境
今回の問題で次々と明るみに出てくるのが地下アイドルを取り巻く悲惨な環境。2年前に地下アイドル活動をしていた女子大生が男に刺され、一時重体となる事件があったが、リスクを伴う割にギャラが安くて待遇が悪過ぎるという現状が相次いでいる。
また、自殺した大本萌景さんと同じようによく考えるとありえないような契約内容でアイドルを目指している少女たちを縛り付けているということも多々あるようだ。
大本萌景さんの研修生時代は無給で、正規メンバーになってからも月給は平均3万5000円。毎月20日以上働かされ、拘束時間が1日10時間になる日もザラだったようだ。
しかも、中にはようやく得た少ない報酬からレッスン費用や洋服代などを請求されるアイドルたちもいるという。
月給平均3万5000円、毎月20日以上1日10時間を時給に換算すると200円以下。これが正当化される契約内容で成立しているアイドル達は俗に言う奴隷契約ではないだろうか。
愛の葉Girls
愛の葉Girls(えのはがーるず)は、2012年12月3日にデビューした愛媛県松山市を拠点に活動する地下アイドルグループ。
日本の美味しくて安全な「食」を推進する『農業アイドル』として活動開始。アイドルが農園で実際に土をいじることで、農業に興味ない世代に関心をひかせ、泥ん子普及でイジメ撲滅を目指すとしている。