今秋の改編で、放送時間が1時間拡大するフジテレビの昼の情報バラエティ番組「バイキング」。
同番組でMCをつとめる坂上忍のパワハラを告発する声がフジの上層部に上がり、一時期は「打ち切り」も噂されていた同番組。
そんな中での1時間拡大は驚きだが、一方で番組スタッフに対する聞き取り調査が行われていたことが「週刊文春」の取材で分かった。
打ち切り疑惑も回避
「バイキング」の打ち切り説が世に出たのは今年6月のことだった。「週刊女性」が、原因は坂上忍によるスタッフへのパワハラと報じた。
同誌によると、リハーサルでやったことが坂上の鶴の一声でひっくり返る、スタッフ2人が体調不良で休職中で、パワハラによるストレスが原因ともいわれているということだった。
同誌は当時坂上に直撃取材し、「注意することはあっても叱責することはない」という回答を得ていた。
「バイキング」では坂上のGOサインが出ないと発言できなかったり、リポーター陣も発言内容を決められていたりといった批判的な声も多い。
その一方で、なにかトラブルがあったときの責任の所在を明らかにするためにも、番組制作時にこういったルールが設けられていること自体は珍しくないようだ。
あるテレビ局員によれば、例を挙げると、『モーニングショー』の羽鳥慎一アナも打ち合わせで本人が納得しないとGOを出さないという。
番組の顔ともなる当人たちにとってみれば、何かあったときに矢面に立たされるわけで、トラブルを回避したい気持ちは理解できなくもない。
といったことで囁かれていたバイキング打ち切り説だったが、先日発表された「1時間拡大」をもって、ガセであることが発覚していた。
スタッフ「もう限界です」
この発表を受けてか、週刊文春がフジテレビに取材したという。フジの関係者によれば、そもそもことが起きたのは今年5月頃のことだったということだ。
ある幹部スタッフが、「バイキング」を所管する制作局の局長らに対し、ある社員の例を挙げて
「もう限界です。このままだと社員がもちません」
と訴えたという。そして、番組スタッフへの聞き取り調査が始まった。以下はフジ社員が文春の取材に答えた内容だ。
「以前から坂上さんに『なんでできねえんだよ!』などと面罵された“被害者”は数えきれないほどいました。6月中旬には坂上さん本人にも事情聴取が行なわれました」
「坂上さんは、『時事ネタを扱う態勢を整えないフジにも問題がある』などと答えたようです。調査の経緯は文書にまとめられ、編成局はじめフジの上層部にも報告されました」
結果的には調査の結果、坂上の言動はパワハラとは見なされなかった様子。
現在フジテレビの企業広報室は、『バイキング』の制作過程においてパワハラにあたる行為はなかったものと認識していると回答しているとのことだ。
9月3日の「週刊文春」では、「バイキング」の9月打ち切りが検討された事実や、9月末で降板する榎並大二郎アナへの取材、坂上が90分にわたって語った「パワハラ」への解釈などが確認できる。
坂上への取材の内容は
今回のパワハラ疑惑を受け、坂上忍本人も「週刊文春」からの取材に応じている。その受け答えの中では、
「今の時代相手がパワハラだと言ったらパワハラだと。僕はそれ、暴論だと思っているんですけどね。それは僕に聞くより判断するのはフジテレビさん」
「フジテレビさんがOKだからこそ今の僕があるし、(改編後の)10月以降も番組に出られるんじゃないですか」
と答えたという。現場で実際に何が起きているのかは当人たちのみしか知り得ないが、これは一理あるように思われる。
実際に坂上がスタッフに対してしていることがパワハラの領域なのであれば、坂上をMCにおいた「バイキング」が打ち切りされないどころが、放送時間が1時間伸びるのは考えにくいだろう。
坂上の言動により心労を受けてしまったスタッフたちを思うと胸は痛いが、フジテレビ自体がOKというのであれば、番組は継続されるほかない。
テレビ局にとっては、新型コロナウイルスの感染拡大がそれなりに収束するまでは、大きな変革を避け、密な連携や打ち合わせによる3密を避けたいというのも本音のようだ。
帯番組の打ち切りや新番組の制作となれば、打ち合わせは避けられない。しばらくの間は、今の状態が続くものと思われる。
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