元プロ野球選手で現在はタレントの長嶋一茂が、父であり巨人軍終身名誉監督でもある、「ミスター」こと長嶋茂雄氏と13年間に渡って〝絶縁状態〟にあることを明かし、大きな話題になっている。
突然の衝撃告白に驚いたファンも多かった様子。親子の確執は当人同士にしか分からないものではあるが、13年という長い年月にわたって顔を合わせていないことを考えると、もはや修復不可能なレベルにまでなってしまっているのでは、と推測できる。2人が不仲になってしまった原因は何なのだろうか?
「生きているうちに会うことはない」絶縁宣言
事の発端は、長嶋一茂の告白。自身が連載エッセイを持っている月刊誌『ゲーテ』2022年1月号で、「父とは、もう13年会ってない」と衝撃的な事実を述べたのだ。
「『お父様はお元気ですか?』と聞かれることも多いが、ずっと『父は変わらず元気です』という返事を繰り返してきた。ここで会っていないというと話が長くなって面倒臭くなりそうだったから、ずっと嘘をついてきた」
とした。続けて、「生きているうちに父と会うことは、もう二度とないだろう。父のほかにも妹達や弟とも10年以上顔を合わせていないし、連絡もとっていない」と、今も家族たちと絶縁状態にあることを明かしている。
「父のほかにも妹たちや弟」としており、母には触れていないが、すでに長嶋一茂の母は他界している。長嶋一茂の母である長嶋亜希子氏は、生前はというと、夫である長嶋茂雄氏の個人事務所「株式会社オフィスエヌ」の代表取締役を務めていた。
長嶋一茂は母には相当懐いていたのかもしれない。母の死後には鬱病になったことも明かされている。また、以前テレビ番組に出演時「長嶋茂雄氏の墓を守っていくのか?」といった趣旨の質問をされた際に、「僕は(父方の墓には)入らない。おふくろがハワイの方にお墓があるんで。僕はハワイの方に行こうと思っています」と答えたこともあった。
現役時代の戦力外通告が原因?
家族間の不仲には当人同士にしかわからない原因があることは容易に想像できるが、外からでも見えるものもあった。
長嶋一茂は、野球界のレジェンドである父親の影響を受け、幼少期こそ野球をやっていたものの、いったんは離れている。その証拠に、中学校では陸上部に所属していたことも知られている。
野球を再開したのは高校時代で、父親と同じ立教高校に入学し、野球部で活躍した。2年生の秋には4番バッターを任された。多くのプロ野球選手は高校卒業後にプロ入りするが、一茂の場合は立教大学に進学。1年生からレギュラーとして活躍し、4年生の春季リーグ時には4番バッターと主将を任され、.340の高打率をマークした。
1987年のドラフトではヤクルトスワローズと大洋ホエールズの2球団が長嶋一茂を1位指名し、競合。抽選の結果ヤクルトスワローズが交渉権を獲得し、入団することとなった。
その後は読売ジャイアンツに移籍し、チームのリーグ優勝や日本シリーズ制覇に貢献している。「親の七光り」と揶揄されることもあったが、しっかり実力も発揮し、順調な選手生活に思われた。
しかし1996年には、コーチとの確執で暴言を吐いたとされ、出場停止処分を受けたのち、当時チームの監督であった実の父親・長嶋茂雄氏から戦力外通告を受け、現役引退となった。
この件の前から確執があったのか、このことが大打撃となったのかは本人たちのみぞ知るところだが、それからというもの、「13年は会っていない」という関係にまでなってしまったわけだ。
妹たちとも確執なぜ?
逝去した母を除く家族たちと絶縁状態にあるという衝撃の告白をしたわけだが、確かに振り返ってみれば、これまでにも長嶋家にまつわるゴタゴタが報じられたことはあった。
例えば、長嶋茂雄氏の妻であり、長嶋一茂の母である亜希子さんの亡き後は、アナウンサーである次女の三奈が 「株式会社オフィスエヌ」の代表取締役を務めることとなったわけだが、トラブルはそんな中で起きた。
報じられた内容によれば、長嶋家ゆかりのグッズを長男である一茂が勝手に売却しており、それでかなりの利益を得ていたのだとか。その利益は億にものぼるという。一茂が売却したグッズの中には、亡き母である亜希子さんにまつわるものもあったらしく、それに三奈さんは激怒したという。
しかし、トラブルはそれでは治まらない。過去に、「長嶋茂雄」の商標期限が切れた際に、一茂の妻が、「オフィスエヌ」にお伺いを立てることもなく、勝手に申請して商標登録をしていたのだとか。
結果的には協議ののち、商標は「オフィスエヌ」に戻ったというが、これで確執が決定的なものになったようだ。報道のすべてが事実かは定かではないが、もし事実であったとすれば、目先の欲にくらんだ一茂が招いた悲劇のように思われる。
ネットでは同情の声が多数
野球をはじめとしたスポーツの解説だけでなく、現在ではコメンテーターとして多くのレギュラー番組ももっている長嶋一茂。
長嶋一茂、新庄剛志監督に感化される!クイズ収録そっちのけで「もし監督になったら…」と妄想 #テレ朝POSThttps://t.co/YgIxZW9yUj
— テレ朝POST (@post_tvasahi) December 10, 2021
コメンテーターとしての発言の内容や、上記のようなゴタゴタなどから、「お騒がせ」のイメージもあるのは事実だろう。そのため、今回の告白に対しても、風当たりが強いかと思いきや、意外とそうでもないので驚きだ。一茂の衝撃告白に対するネット上の反応の多くは、以下のようなものだ。
《いくら親兄妹だろうと、会いたくなければ会わなければいいと思う。ミスターだって本当にいい父親とは限らないし》
《大病もして高齢の実父でありながら「生きてるうちに会うことは二度とない」と言うのだからよほどのことがあるんだと思う》
《お母さんもミスターとは仲が悪かったと言われていましたよね。野球ばかりで家庭を顧みなかったそうです。一茂もいろいろ思うところはあるだろうね》
《野球がうまいのと良い父親はまったく関係ない。社会的に信用あるのと良い父親はまったく関係ない。一茂さんは強く生きている。それだけで素晴らしいです》
《何かしら常人を逸する秀でた才能がある人は、その分どこかしら欠けた部分が多いように思う。そういう人と付き合うのは、親子とはいえなかなか難しいんじゃないかな》
これらのコメントが一茂ファンから寄せられているものなのか、あるいは中立的な立場の一般層からのものなのかは判然としないが、多くは一茂の苦しい胸の内に理解を示すものばかり。当時のように、「親の七光りのくせに」といった厳しい言葉を投げかけている人はあまりいないようだ。
実の父親である長嶋茂雄氏は、長男の告白をどのように受け止めているのだろうか?親子の修復の日が来るのか、この先を見届けたい。